椿山亜季人の苦難日記
「今日の昼の新幹線!!吉原が乗る便も知ってる!」

「えっ?」


「会いにいきなよ!」


「何言ってっ…」


不快そうな顔をする日和ちゃん。

「言わなきゃダメだよっ。文句だってなんだって、本気で好きになったんなら、ちゃんと!」


ばかだなって自分でも思うよ。でも、しかたないじゃない?だって…


「俺は、日和ちゃんが大好きだから。」


ずっと好きだから。

「だから、幸せになってほしいんだ。」


日和ちゃんがまた、泣き出しそうな顔をして、握っていた手に力が入る。


「亮介くんっ…ありがとう!」


泣きながら、花のように笑った。


「早く!」

小さな手がほどけて、彼女は扉の向こうへと消えていく。


「…あーあ…。」


俺はその場に座り込む。


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