椿山亜季人の苦難日記
「俺ってバカ…。」

絶対頭の作りがおかしい。







「ホントだよ、お人好し!」

「月並みな台詞でよく動かしたもんだ。」


座り込んでいる俺の、頭の上から降ってくる、2人分の言葉のナイフ。


「千歌もアキさんも、盗み聞きって感じ悪い…。」

文句をたれると、


ポンッと2人分の温かい手も降ってきた。


『ま、頑張ったな。』


慣れないことをされて、俺たちは何も言わなかった。


あーあ。


また、俺の恋は終わる。


そして、また恋をするんだろう。


でも不思議と、それに不安はない。



また恋をしたい。


自分より大きな二人に囲まれて、


ただ、未来の幸せを祈った。

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