椿山亜季人の苦難日記
その中でも、特にね?


『変な生き物』がいるんだ。








秋も深くなった放課後の屋上。


珍しく、大きなキャンバスを立てて、

夕焼けの赤に包まれて、背の高い女が立っていた。




「…顔、絵の具ついてるよ、千歌ちゃん。」



「うわっ!いきなり話かけんなよ!びっくりした…。」


焦って絵筆を落としてしまった千歌。顔についた黄色の絵の具を、拭く様子もない。


というか、それどころじゃなかったのかねぇ?

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