椿山亜季人の苦難日記
数日後、千歌の行動がおかしくなった。


…普段まともかと言えば、そうでもないけど。




むやみに人に蹴りをいれなくなった。



こう…しおらしく?っていうの?

あ、言っててちょっと気持ち悪くなった…。




相応して、屋上で見掛けることも少なくなった。



放課後は、お菓子作りに励んでいるらしい。




…材料の味くらいは、残っているといいね。





珍しく独りの屋上で、冷たいコンクリートに寝そべって、日の落ちかけた空を見る。



『空…』


いつだったか、千歌ちゃんは空を見上げて色を重ねていた。



めちゃくちゃきついだろうに、楽しそうに。




今頃千歌ちゃんは、あんな風に一生懸命になってお菓子作ってるのかなぁー…



あ、顔の想像つくぞ。


眉間に皺寄せて、下唇かんで、異常に肩に力入れて作ってるんだ。



頑張ってるんだ…


うん、頑張ってるんだ。

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