椿山亜季人の苦難日記
その日はとても暑くて、できれば、わずかでも動きたくない。

ほんとに動きたくない。


「アッッキッさーーん!!」


屋上の日陰で、周りにうち水をして涼んでいると、チビすけが突入して来た。



「って、うわっ、なにこれ!?聖水の結界!?」


うち水に驚いているチビは、やたらとご機嫌なようだ。


「おまえのような呪いをかけられた者は、決して入れない…。」


「ええっ!?俺って呪われてんの!?」


「そう、一生子供の姿のまま…」


『とおっ!!』


話を遮るように亮介は、飛び付いて…もといタックルをしてきた。



「いたい…」


亮介は、すぐに立ち上がって、


「そんなにダラダラしていたら、アキさんこそ、すぐにじいさんだよ!!」



『若者らしくしなきゃ』

っと、明るい顔の亮介。



ああ、そっか。


「放課後に日和ちゃんと二人になれるのが、そんなに嬉しいのか?」


ってことでしょ?


亮介は、真っ赤な顔をすると思ったら、


「そうだよ。」


て、急に、大人びた表情をした。


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