椿山亜季人の苦難日記
まわりをみていて、分かったことがあった。


亮介は日和ちゃんが好き。

これは分かりやすい。


日和ちゃんは、担任のことが好き。


で、亮介は…


今、分かった。


亮介は、日和ちゃんの気持ちを知ってる。








「亮介…、おまえって、本当にバカ…。」


すました顔の亮介を見据えて、言った。



「うわっ、アキさんってば超不機嫌そうな顔!」


当たり前だ、不機嫌だし。

亮介は、少し笑って答える。


「でも…、バカにでもならなきゃ、好きな彼女の笑顔でさえ、拝めなくなるじゃん。」



じゃっ、と言って、亮介は屋上を出ていく。



ああもう、すごく不快だよ。

でも、怒ってなんかない。


不快だけど、



そういう考えは、嫌いじゃないから。



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