椿山亜季人の苦難日記
「そんなことないやいっ!天使のような女の子がいるもん!!」

「現実を見ろ!合コンに行くのは飢えた猛獣!!ホントの天使は『合コンなんて怖くて行けないっっ』ってなるの!!」

イライラしながら千歌が怒鳴る。

「千歌ちゃん…、リアルすぎ…。」

と、アキさん。

「うっ、覚えてろよ!!」

捨てぜりふをはいて、走りさった。

「何をだよ!!」

千歌のツッコミがうすく聞こえた。



知ってるさ。

あの戦場に天使はやってこないことぐらい。



「あれ?何でこんなとこまで…」

知らないうちに、中庭までたどりついてしまっていた。


中庭は静かで、涼しげな噴水の音だけが、響いていた。


噴水の向こう側のベンチに一人、華奢な女の子が、座って本を読んでいた。


見覚えがある。


「あ、日和ちゃんだ…」


強い風が吹いた。

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