椿山亜季人の苦難日記
少しずつうち水が干上がっていくのを、ぼぉっと見ていた。




「何してんの?」


突然、上からふってきた言葉に、はっとして、上を見る。


千歌が不思議そうに、こっちを見ていた。


「…結界で暑さをしのいでいるのさぁ~。」

と答えると、


「うっわ、亮介みたいなこと言ってんなよ。」


と、あきれた顔でいわれた。



「まったく…今日はいつも以上にやる気ないね?」


と、千歌がその場を離れようとしたから、


「千歌ちゃん、今日は何も描かないの?」


つい、呼びとめたくなった。



なんだろ、今、ちょっとセンチメンタル?


「ん?今日は、日和と亮介の教室に行こうかなっと思って。涼しいし。」


あ、どうしよう、すごく行きたい。



「アキさんも行こう。」


さもあたりまえ、というように、千歌が言う。



ははは、俺、何やってんだろう。


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