椿山亜季人の苦難日記
四人が四人とも、自分の場所を目指して、


一人になることをいとわないのに、




亮介が日和ちゃんを、


日和ちゃんが担任のことを、


千歌が梅田を、


それから、


俺の…



特別に想う心は、



離れてしまった後、



どのくらい、傷つき続けるのだろう。



ガラにもないことで、分からなくて、


俺は、千歌に答えてほしかった。


千歌の意見が聞きたかった。








黒い目が真っ直ぐに、俺の目を見る。


「そりゃ、簡単じゃないけど、いつかは変わるよ。」



「いつの間にか、将来の夢が変わるのと同じ。生きたい未来がかわるから。」



「誰かを好きになるのも、生きたい未来を選ぶことと同じでしょ?」



『変わるのよ。』

と、歩き出した千歌の背中について、歩き出す。






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