椿山亜季人の苦難日記
「日和ちゃんを迎えに行きたい。」

そういった亮介に頷いて、校長室に向かった。

校長室の前には、扉に向かって、ただ立ち尽くす千歌の姿があった。


亮介は千歌の隣で立ち止まって、同じように黙って扉を見ていた。


亮介なりの気遣いだろう。千歌の肩から力が抜けたようにも見えた。


俺は、少し離れたところで、壁に寄りかかった。

正面をきって日和ちゃんに会ったら、きっと不機嫌な表情をさらしてしまう。

そんな、追い討ちをかけるようなことしたくはない。


警告はしておいた。

それでも、全部守ろうと頑張っていた。

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