椿山亜季人の苦難日記
日和ちゃんのとった行動、決断の是非なんて関係ない。

結果、千歌が怒ろうと、亮介が傷つこうとも、

必ずしも悪かったわけじゃない。

人はあがくものなんだ。

他を犠牲にしても、自分に向けられる、たった一つの視線が欲しくて、

あがく。





ボロボロになって、校長室から出てきた日和ちゃんが、俺の前で一言、

「ごめんね。」

と言った。


そのとき、俺は初めて顔を上げて、彼女に言葉をかけた。

「頑張ったね。」

腹の底が沸き立つような、妙な感覚に耐えられなくて。



日和ちゃん、君の姿を見ていて俺も分かったよ。

俺もあがいているんだろうって。

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