椿山亜季人の苦難日記
その瞬間、千歌の顔に今まで以上の怒りが宿ったように見えた。

「…何、それ…」

小さく、震えた声。

「千歌は、ずっと自分の好きな道を行くんだろう?

でも俺は、全然違う場所で、誰でもするようなつまらない道を行くんだ。

この先、接点だってないんだよっ」

よせば良いのに、俺はもう、自分の心が吐露するのを止められなかった。

「だから…」

「ばっっっっかじゃないの!!!?」

大きな、怒鳴り声がした。


その声の主は、拳をにぎり締めて、

眉間に皺をよせ、真っ赤な顔を向けていた。


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