椿山亜季人の苦難日記
「別の道!?じゃあ何!?この先一緒の生き方しない相手なら、他人の気持ちに関わるのも、許されないわけ!?

自分は散々頼らせといて、私たちからの助けはいやだっての!?

あー、分かった分かった!!ほんと最上級のバカだな!!チンカス!!!」


…平静を、保っていたかったのに、もうだめだ。


「…っ、千歌、バカで悪かったな!だいたい何でそんな口汚いだよ!!だからふられっぱなしなんだよ、おまえは!!」

怒鳴ったのは、初めてだった。



「どーせ!!!あんたには関係ないだろっ、頑固じじい!!


何が『別』だよ!どこ立ってると思ってんのよっ、

たかが同じ地べたの上!!」


ドン、と、地面を蹴る千歌。

「たかが、同じ空の下だろうが!!!」



冬の強い風を、切り裂くような怒号だった。




「一生悩んでろ、ハゲ!!!」



呆然とする俺に捨て台詞をはいて、その女は、ドアを蹴り開けて出て行った。


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