椿山亜季人の苦難日記
顔に集まった血が、冬だという事を忘れさせそうなくらい、体温を上げていた。
「アキさんもあんな風に怒鳴るんだ。」
笑いながら、横に立ったのは亮介で、下から俺を見上げて、
「でも、あんな言い方は、俺も嫌だった。」
少し悲しそうに、そう言った。
「…俺は…」
「アキさんのとこに寄って行ったのはさ、居心地が良かったからなんだよ?」
顔は、千歌の去った先へ向いていた。
「アキさんは、なんだかんだで、突き放したりしなくて、3年間楽しく過ごせたと思ってる。
でも、何で、最後の最後で、自分から掴もうとしねぇの?」