椿山亜季人の苦難日記
沈黙に耐えかねたのは俺だった。


「…日和ちゃんは、どうして大学、あそこにしたの?」

日和ちゃんは、キョトンとした顔で、

「それは、やりたい学科があったから…。」

と答えた。

「そうじゃなくて、なんで吉原がいるところをえらばなかったの!?」

「どうして選ばなきゃいけないの?」

「それが分からないから訊いてるんだよ!!」

言って口を押さえた。どうも、今日は感情的になりやすい。

返答にイラだって、…いや、

「傍にいること、選べたのにって…」

ああ、たぶん、嫉妬だ。最悪。


口調を強くした俺に、少し驚いていた日和ちゃんが、やわらかく笑った。


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