椿山亜季人の苦難日記
「…亜季人くんは、私の選択、おかしいと思った?」


「…いや、らしい選択だとは思ったよ。ただ、そういう結論をだした理由が、理解しづらい。」


「そっか…。」

日和ちゃんは、下を向く。

「亜季人くんだったら、好きな人が自分の傍を選んでくれたら、うれしい?」

「…それは、うれしいよ。」

彼女のやわらかい口調で、素直に言葉が出た。




「じゃあ、その選択が、好きな人自身の夢を、犠牲にしたものだったら?」



ドクン、と、心臓が大きく跳ねた。

えぐられたような、でも、


「…すごく嫌だね。むしろ怒るよ。」


もう少しで、目を背けていたものと、向き合えそうな、


泡立つ感覚。

「ね?」

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