椿山亜季人の苦難日記
あれだけ怒らせたから、殺されるかもしれないけど、
どんな言葉でも、どんな気持ちでも、向き合わなければ、哀れむ未来さえつながらない。
どうして好きなのかなんて、正直覚えてない。
もうずっと前から、きっと当たり前のように、でんと座っているだけ。
でも、一緒にいたいのは、はっきりしてる。
気が逸るなんて、あんなのうそだ。近づくにつれて、足は重く、遅くなって、
美術室のドアの前で、深く息を吐いた。
「…千歌ちゃん。」
美術室のドアを開けると、夏に見た空の絵の前に、千歌は立っていた。
無言のまま振り返った顔は、不機嫌に眉をひそめていた。
「さっきは、ごめん…なさい。」
もちろん、謝ったのは俺だ。
「別にっ、口汚いのもふられっぱなのも本当だから!!」
「ああ、的確だよね~。」
「あんた何しにきたんだよ!!言っとくけど、必要ない人間に関わってやるほどやさしくねぇから!!」
なんだろ、千歌は怒ってるって言うのに、おかしくてしょうがない。