椿山亜季人の苦難日記
「ええええ!?」
動揺する千歌。
「俺、バカだよ。千歌の言うとおり、ずっと、悩んでた。
離れるのが怖くて、突き放そうとしてたんだ…。」
千歌の体に力が入るのが分かった。
「…そりゃ、バカだ。」
「うん。でも止めた。教えてもらって分かったから。」
何が大事なのか、一人だった頃は、分からなかったこと。
「アキさん?」
「手放したくなんかないから。」
「何…」
分からないでいる千歌に、
「俺ね、千歌がすっごい大事なんだ。」
グッと、肩に回した腕に力を込めた。
「…うそだ…。」
信じられないと、震える千歌。
俺は、目の前の、空の絵に目を向けた。