椿山亜季人の苦難日記
ひとしきり笑って、貴男は口を開いた。

「まあまあ、千歌にもいつか、いい出会いがあるさ。」


クシャっと私の頭を撫でながら、ニカッと笑う。

「物好きもいるんだって!」

「一言多いんだよ!!」

ムカッとして、貴男の足に蹴りを入れる。




このノリが、心地いい。



気の小さい自分を、知らないふりしてくれる。



可愛くない私を、


私として相手してくれる。


それでいい、大きな、大きな存在。



そうだ、不思議だよ。




だって、









恋をしないはずがなかったんだ。









6人目に"好き"だと思ったのは、



貴男だった。




そして、後悔した。











だって彼は、










私を"女"として見てはいないんだ。




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