椿山亜季人の苦難日記
放課後の日課は、屋上で風景をスケッチすること。


一応、美術部に入ってはいるけど、展示会用に絵を出せばいいだけだから、部室には顔を出していなかった。

実をいうと、人に絵を見られるのは、好きじゃなかった。

というか、感想を聞くことが、怖かった。


自分から見せたのは、貴男ぐらいか?あとは、

ただなんとなくだったけど、



「今日は、何描くの?」


後ろに立っている、細身の男。

「よっ。」


声をかけると、ふわっと笑う。女の子みたいで、少しイラッとする。


椿山亜季人には、見せたことがあった。



よく覚えてる。


絵を見せたとき、すごく怖かった。




「あたたかいね」と言われたとき、




すごく、



すごくうれしかった。










照れ臭くて、デコピンしちゃったけどさ。





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