椿山亜季人の苦難日記

でも、

壊れない"絆"を選べるほど、

私は、素直じゃない。


「…貴男。」


泣いたりしない。


「ん、なに?」


目を見据えて、




「私は、貴男が好きだよ。」



貴男の知らない私を、ぶつけた。






貴男が、硬直するのが分かった。



真剣な目で、続きを待っている。




「友達の『好き』とは違う、男として、貴男が好き。」


壊れてしまうとしても、自分の弱さも愚かさも貴男には知っていて欲しかったから。




かすれた低い声で、貴男は答えを口にした。














「…ごめん。」









「千歌は、一番大事な、『友達』だ。」



大事な『女の子』じゃない。









うん、





ありがとう。




< 35 / 169 >

この作品をシェア

pagetop