椿山亜季人の苦難日記
急いで、


屋上へ、早く、




描けっ、描けっ




空でも描こうか!?



上を見れば…



「うっ…」



涙が邪魔をして、空が見えない。




下を向けば、スケッチブックが、点々と、染みを作って。




描けっ、描けっ、



忘れろっ



苦しくない。




だって、いつも大丈夫だった。


何回失恋しても、大丈夫だったじゃない。



「笑え、笑えっ…」




笑いとばしてくれなくても、



大丈夫。










「パンツ見えてるよ。」






ぽんっと、



温かくて大きな手が、



頭に触れた。





細身の長身で、ふわっと笑う。
女の子みたいで、好みの対極の男、


椿山亜季人。




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