椿山亜季人の苦難日記
「受験勉強で人に教える余裕のあるヤツはそうはいないの!嫌って言ってる人に無理強いするもんじゃない!
あんた、アキさんが落ちたら責任とれる!?とれないだろうが!」

指を拭きながら、千歌が強い口調で言う。

亮介くんは、すねたように口を開いた。

「だって…、俺だって焦ってるんだよ。自分の将来がどうなるか不安だし。千歌だってそうじゃねぇの?」

「私、芸大A判定だから。」

「ぬぇぇっ!?サボり放題してたのに!?」


「千歌ちゃんは容量だけはいいからね。」


「裏切り者!!」

嘆く亮介くんを笑う二人。


タイプが違うのがよく分かる。

いつも私は不安だった。なぜ、ここに居ることを許されているのか。

必要だと言われて、庇護されているだけで、本当に自分に意味があるのか。



「まあまあ、二人ともあんまりいじめないで。
亮介くん、私でよければ一緒に勉強しよう。」


「ほっ、ホント!?やったぁっ!!」


亮介くんが、笑顔になってガッツポーズをする。

「日和!あんまり甘やかしちゃダメだよっ、自分も大変なのに!」


「大丈夫だよ。」


心配する千歌に、笑顔をかえす。

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