椿山亜季人の苦難日記
―放課後・自習室
「そこはね、同じ平面上にある点の条件を利用するの。」
特別課題を前に、頭を抱える亮介くんに、ヒントを出すと、パッと顔が明るくなって続きを解き始める。
亮介くんは、時々ぼぉっとしているときがあるけれど、この勉強会を始めてから、意外にも真面目に取り組んでいる。
彼の出来ることが少しずつ増えるたびに、私は嬉しくなった。
先生って、こんな気持ちなのかな…。
午後の陽の射す教室はとても暑くて、この狭い自習室には二人だけだった。
「…暑いねぇ。」
眉間に皺を寄せて亮介くんは呟いた。
「そうだね。冷房は生徒が勝手につけちゃいけないからね。」
せっかく集中してきたのに可哀想なので、下敷きで風を送る。
「えっ、日和ちゃん、いいよ!」
慌てて亮介くんは、私の手を掴んで止める。
「区切りがいいところまでね。そこまで終わったらアイス食べに行こう。」
「う、うん。」
おとなしくなって、亮介くんは下を向いた。
心なしか耳が紅い。
「あっ、あのさ!日和ちゃんっ…」
「えっ?」
『おーすっ!』
「そこはね、同じ平面上にある点の条件を利用するの。」
特別課題を前に、頭を抱える亮介くんに、ヒントを出すと、パッと顔が明るくなって続きを解き始める。
亮介くんは、時々ぼぉっとしているときがあるけれど、この勉強会を始めてから、意外にも真面目に取り組んでいる。
彼の出来ることが少しずつ増えるたびに、私は嬉しくなった。
先生って、こんな気持ちなのかな…。
午後の陽の射す教室はとても暑くて、この狭い自習室には二人だけだった。
「…暑いねぇ。」
眉間に皺を寄せて亮介くんは呟いた。
「そうだね。冷房は生徒が勝手につけちゃいけないからね。」
せっかく集中してきたのに可哀想なので、下敷きで風を送る。
「えっ、日和ちゃん、いいよ!」
慌てて亮介くんは、私の手を掴んで止める。
「区切りがいいところまでね。そこまで終わったらアイス食べに行こう。」
「う、うん。」
おとなしくなって、亮介くんは下を向いた。
心なしか耳が紅い。
「あっ、あのさ!日和ちゃんっ…」
「えっ?」
『おーすっ!』