椿山亜季人の苦難日記
職員室は意外にも静かだった。

「先生…。」

仕事をしている島田先生の隣に立って声をかけた。

「ああ、橋本。」


「吉原は?本当のこと、教えてください。」

隣の、空になった吉原の席に目線を向けながら言うと、少し困ったような表情を浮かべて、


「ここ、座りなさい。」


吉原のイスへと促した。


促されるまま、そこに座る。

ここから見る職員室は、なんとなく広い。


横にいる先生は、手は作業を続けたまま、顔を合わさずに話だした。


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