椿山亜季人の苦難日記
「吉原君ね、私があの二人を見つけて、引き離した後、すぐ、
辞表をだしたのよ。
まだ、ひっぱたいた頬が腫れていたけど、表情ひとつ崩さずに、
でもあの仏頂面が、すごく強い瞳をして、
『田崎には責任ありません』って、
でも、
『悪いことをしたとは思っていない』って。」
苦笑しながら言う先生の声は、どこか楽しそう。
「吉原、どうするの?」
「家業を継ぐっていうのは本当よ。今日の昼の新幹線で出発するって。」
「今日って!!日和ちゃんはどうなるんだよ!知ってんの!?」
「橋本っ」
落ち着け、となだめて、先生は寂しげに笑う。