My lover's song
そう思って古閑先輩を見つめていると
「でも工藤くん颯太くんのことすっごく褒めてたんだよ?
いっつも無口で話しかけても最小限しか喋らないのに、『ドラムやってる時の颯太はかっこいい』って」
「え…」
「小湊くんと辻くんも。
颯太くん、愛されてるんだね!」
笑顔で俺を見る先輩。
先輩達
俺のことアピってくれてたんだ…
なのに俺
練習に集中しないで。
せっかく褒めてくれてたのに…
本当カッコ悪い。
蓮矢先輩達にも
古閑先輩にも顔向けできない。
「どうしたの?」
「あ、いえ…」
「それに、私も知ってるよ?
いっつも颯太くんが一生懸命練習してるの。
だからちょっと失敗したくらい、気にしないで頑張ればいいと思うな…ってなんかごめんね、えらそうに」
あははーと恥ずかしそうに笑う先輩。
こんなちょっとのことでも
かわいいと思えてしまう。
それに、今の先輩は
「すごくかっこいいです。」
「ん?」
「俺も古閑先輩にかっこいいとこ見せるんで。そんで、好きって伝えるんで、次のライブ、絶対見にきて下さい。」
「あ…うん…え⁉」
「じゃっ、俺練習あるんで!」
言い終わる前に走り出す。
だって
すっげー恥ずかしかったから。
あれじゃ
好きって言ったも同然じゃん!
あー
もっとかっこいい告白あっただろ!
俺のばか!