My lover's song
俺はふてくされて
近くの樹にもたれかかった
「行かなくていいの?」
「もういいっすよ、掃除なんか」
キスできそうだったのに!
めっちゃいい感じだったのに!
1人でいじけていると
不意に先輩に手を握られる
驚いて顔をあげると
「行こっ?私も掃除手伝うから」
そう言って
俺の手をひいて
校舎へと歩き出す
あ、そっか
俺が掃除したくないんだと思ったのかな?
掃除が嫌なんじゃなくて
先輩とキスできなかったのが
嫌だったんだけどなぁ…
しっかり者のくせに
どこか抜けてる先輩
今だって
一生懸命俺をひっぱるけど
俺が普通の速さであるいたら抜かせてしまう
そんな後ろ姿が
とっても愛おしい
「先輩」
「ん?」
俺が声をかけると
振り向いて立ち止まる先輩
そんな先輩のおでこに
ちゅっと小さくキスをして
「好きですよ」
そして今度は俺が先輩の手をとって
走り出す
「そ、そ、そうたくん⁉」
その声だけでも
とてもびっくりしてると分かる
どんな顔をしてるのか見たくて
チラッと振り返る
するとそこには
真っ赤になりながら
一生懸命俺についてくる先輩
かわいいな
繋いだ手にぎゅっと力を込めれば
ぎゅっと握り返してくれる
その小さな手がたまらなく愛おしい
いつまでも
こんな時間が続けばいいのに