サクラが咲いた、雨
嫉妬と欲望、そして悲しみ
掃除を終え、練習着に着替えて部活に行けば、引退した先輩たちがいた。
その周りには、2年生たちがいた。
多分、1年生の基礎練を始めにさせたのだろう。
「梓紗ちゃん、ぜひお手合わせ願いたいなあ」
「ええっ、先輩強いから嫌ですー!」
「またまた!梓紗ちゃんの方が強いわよ」
嬉しかったんだ。
『新部長は、杉原だ』と言われた時。
1年の頃からレギュラー入りしていた梓紗じゃなくて、私だった時。
嬉しかったんだ。
ついに、私の実力も認められたんだと。
でも、実際は…。
「真悠【まゆ】はずっと新部長には梓紗ちゃんを押してたんだよね」
そう。
前の部長、真悠先輩は、私じゃなくて梓紗を新部長に押していた。
けれど、監督の最終決定により、私が新部長となった。
梓紗はなんとも思っていないみたいだけど。
ここでも私は…。