サクラが咲いた、雨
「ごめんね、こんな汚い誤解されるようなことをして」
そう言った瞬間に、一筋の涙が彼女の瞳から零れた。
彼女が言う、“汚い誤解”を招くようにしなければならなかったのは、私を取られないため。
そんな彼女の、少しのいたずらは、私にとってはとても嬉しいことだ。
私を思ってくれたからこその、行動だから。
彼女が汚い誤解を生みだしたのならば、私はそれ以上汚い。
友情よりも恋を選んでいたのだから。
都合がいいことかもしれない。
内緒にするだなんて、それこそ汚いことだと思う。
でも、すべてを帳消しにするためには。
「……もう。馬鹿だなあ、梓紗は」
「…っ、瑞華ちゃん…」
「例え私が加地くんと付き合ったとしても、一番の友達は、…親友は、梓紗だよ」
梓紗の思いのすべてを受け止めること。
そう、私は思う。