サクラが咲いた、雨
「すげえよな。女子であんなに練習熱心な奴、初めて見たよ」
今、加地くんのこの笑顔を作りだしているのは私じゃなく、紛れもない、梓紗だ。
たとえ梓紗でも。
私以外の、他の女の子のことを見ないで。
そう思ってしまうのは、普通なことだと思いたい。
どうして、そんな目で彼女を見るの。
どうして、そんな目で彼女のことを言うの。
そんな汚い感情が、私の胸の中を占める。
「…加地くん詳しいね」
「そう?浅海とは毎朝少し話すぐらいだけど、見た目によらず信念とかすごいしっかりと持ってて、熱い奴なんだなあって。ちょっとギャップを感じてるよ」
だから、どうして。
彼女を思ってそんな顔をするの?
お願いだから。
やめてよ。