Again -もう一度恋して-
「鈴子には会って行かないのか?」
「会っても仕方ないでしょう。
俺の事なんか分からないんだから」
「そうか……」
書斎を出て玄関に行く途中で足を止める。
八重樫の父から再婚したと手紙が来たのは、いつだったかな……。
その時から、母は少しずつ壊れていった。
ある時から、俺の事を八重樫の父だと錯覚するようになって。
俺を見ると八重樫の父の名で呼び颯太とは呼んでくれなくなった。
そんな状況に耐えられなくなり同じ家に住みながら、いつしか避けるようになった。