星月童話
「他に質問は?」
七斗くんがキッチンに向かいながら言った。
「何歳ですか?」
「……十七歳、なのかな。君は?」
今の答えにはおかしいところがあった気がする。でも、わたしにはよくわからない。
「同じです。十七歳です」
「そう。ここにはどれくらいいるの?」
「三年です。十四歳の時に来ました」
七斗くんはそう、と答えるとキッチンから戻ってきた。そして、わたしにオレンジジュースの入ったグラスを手渡した。
「はい。まあ、くつろぎなよ。難しいことなんてないからさ」
ソファを指差され、わたしは頷くと腰を沈めた。その隣に七斗くんも座る。
「さて、どうしようかな」
七斗くんは呟いた。
「基本説明は終ったし、後は世間話かな」
「世間話?」
「うん。どうしよう。君も僕も情報が少ないからね。とりあえず、共通の会話でもしようか」
七斗くんは顎に手をあてながら言った。
「君と僕の共通の会話、か。そうなると清川くらいなのかな」
「清川さんですか?」
「うん、そうだね。そうしよう。じゃあ、清川のあのうざったい髪についてどう思うかについて、にしよう」
七斗くんは表情を変えずに言葉を続ける。
「今も言った通り、僕はうざったいと思っている。君はどう思う?」