センセイ中毒。
前はいちばん前の席が嫌すぎたのに、化学があるからもう離れたくない。
「じゃあー、上峰。これは何モル?」
「あ、えっと.....9?」
1学年10クラスのうちの1クラス、10組だけは特別進学クラスとされている。
入試でうまくいった私は運悪くこの特進クラスに入ったのだ。
「上峰、あんた大丈夫か?」
授業のあとに神田先生に聞かれる。
私は、ほんとバカ。
なんでこんなクラス来ちゃったんだろうか。
神田先生にまでバカだって認識されるのは辛い。
「補習する?」
それでもこのクラスだから、いいこともある。
「はい」
先生はみんな特進クラスの生徒を他のクラスの生徒より重視する。
特進クラスの生徒がこの学校の代表と見られるからだ。
だから私がバカであることは学校の危機でもあるんだろう。
どんな理由であろうと、補習が受けられるなら構わない。
先生と一緒にいられるならば。