送り狼

社へと続く石畳の階段を

暗闇の中、足で探りながら進んでいく……。


社への道程は、そんなに長い距離ではないはずなのに今はとても長く感じる。

きっと、私の中に潜む恐怖心がそう感じさせているのだろう。



私は、これからここで何を見るんだろう??


何を知るんだろう??


そして何が起きるんだろう??


そんな好奇心にも似た恐怖心を抱え、最後の石段を登りきった。



登り切ると数歩進めば、社のはずなのに、真っ暗で何も見えない。

暗闇に慣れてきた目が、かろうじて足元だけをボンヤリと確認できるだけで

その先は絵の具で黒く塗りつぶしたような暗闇だ…。

私は生唾をゴクリと飲み込んで、暗闇に一歩踏み出した。





ーーその瞬間…………




『ゴオオウっっ!!』




ふいに突風が巻き起こり

勢いよく木の葉を舞い上げた!


咄嗟に目を瞑る!!



風の音が消えて行くのを感じてから、瞑った瞳をゆっくりと開いた。


「…………あ…れ??……」



何故だろう…

さっきまで真っ暗だったのに


社だけが、暗闇に蒼白く浮かびあがっていた……。
















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