送り狼
「真実を知った感想は?」
「………」
答えない真央に山神は続けた。
「…ふん…。
言葉も出ない程の衝撃だったか…」
そう呟いて遠くを見つめる山神。
山神のその横顔は、何処か切な気に真央の瞳に映った。
「…山神…。
おばあちゃんは…幸せだったよ…」
その言葉に、山神は真央に振り返る。
「…あれから…
おばあちゃんは、幸せな一生を送ったよ…。
山神のお陰だね」
真央は山神に微笑んで見せる…。
「……そうか…」
山神は無表情に一度そう言うと…
「…そうか…そうか…」
と、頷き、懐かしい記憶に想いを馳せるように、また遠くを見つめた。
その瞳は、美しく輝く山々の緑を映しつつ、優しく揺れていた…。