送り狼

「いただきます…」



ズルズルっとカップ麺を勢いよくすする。



一通り滞在できるよう掃除を終えたら、もうすっかり辺りは暗くなっていた。

夏休み真っ只中に、何も無い山奥で一人カップラーメンをすする女子高生…。

なんて侘しい姿なんだろう…

情けなくて思わず涙が出てしまいそうだ。

今頃友達は海だの、祭りだの、夏を満喫しているかと思うと、

大きなため息の一つや二つ吐いたところで罰はあたるまい…。

誰に気兼ねすることなく、大きく息を吐き出してやる。



ーーもしかしたらおばあちゃんもこんな気持ちで毎日一人で食事をしてたのかもしれない。



どうも、ここに一人でいるとおばあちゃんの暮らしを想像しては、寂しい気持ちになってしまう。

思い出の詰まるこの場所に一人でいるせいからなのか?

それとも、私達家族がおばあちゃんの最後を看取れなかった罪悪感からなのか?


いずれにせよ、調子が狂ってしまう。


そんな感傷的な気持ちを振り払うように、

「ズルズル~っ!!」

とワザと大きな音を立ててラーメンを吸い上げた。




侘しい食事を終え、特にする事もないのでゴロンと寝床に転がる。

夏虫のやかましい声だけが、頭に響いてくる。


余計な事は考えたくないな……。


考えると、自分が絶対的に嫌な人間になってしまいそうだからだ…。


『今日は疲れた……』


朝からフル回転で動いていた私の体は正直だ。


『明日から、また大変だ……』



私はゆっくりとまどろみの中へと落ちて行った…。









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