謎の時間
−キーンコーンカーンコーン−
終業のチャイムが鳴り、放課後が訪れる。俺は挨拶もそこそこに足早にあいつのもとへ向かった。
「おい」
呼び掛けると、そいつはゆっくり振り返りやぁ、と間延びした挨拶をする。
「今日もすごい暑かったねぇ、私達がアイスだったらきっと溶けてるよぅ〜」
にぱ、と無邪気な顔で言うと重そうなカバンを背負う。バランスを崩しそうになるのを支えて、もうひとつのカバンを持った。
「優しいねぇ、いいお嫁さんになるよ〜」
妙に間延びした口調で、そいつは再び笑った。