謎の時間
「やぁやぁ、寄り道かいお嬢さん〜」
言いながら隣のブランコに腰掛けたそいつは、楽しそうに此方を見詰めた。
「何か悩み事かなぁ? 思い詰めた顔してる〜」
無防備に俺の頬を触ると、無邪気な笑顔であははと笑う。俺は少し俯くと、真っ直ぐにそいつを射抜いた。
「怖い顔〜、ほら。笑って笑って?」
むに、と頬をつねり俺の顔を覗く。
「悩み事は何かなぁ〜、私に話せること〜?」
さっきまでの俺の心を読んだかのような問いに思わず動揺した。するとそいつは頬から手を離し、ついっと横を向いた。
「・・・あ、あのさ、」
重々しい口を開き、なんとか言葉を発する。そいつは再び此方を見ると不思議そうに首を傾げた。
「なぁに? 気の置けないお嬢さん」
その無防備な様子に、またしてもペースを持っていかれそうになる。
「あの、さ」
「うん?」
「……お前、なんでたまに教室からいなくなるの?」
頭が考えるより先に、口が動いていた。