Don't forget “my memory…”

目の前の彼女から逃げようとするルイ…


だが、彼女は彼を逃がしはしない…

更に絶望を与え、闇へと導く…




 「あんたを殺す事。これは、この女も望んでいる事。彼女の願い、聞いてやれないの?」



そう言った彼女の瞳は、緑色ではなく、いつものカリンの瞳の色だった…


寂しそうに瞳を潤わせ、今にも消えてしまいそうな彼女…


触れてしまえば、壊れてしまいそうで…

でも、捕まえないと、いなくなりそうで…


彼女を力強く抱き締めたかった…



そんな彼女を青い瞳の中に映したルイは、彼女を失いたくないと目を見開く…





もう何もできないだろうと悟った彼女は、微かに口の端を上げ笑うと、緑色の瞳を細め、タンッと地を蹴り飛び上がった…





 「その首もらった!」


ルイの元まで飛んだ彼女は、鋭く伸ばした爪で彼の首元を狙い、素早く切り裂く…



      ザクッ…!



辺りに鮮血が舞うのが、緑色の瞳の中に映る…


そして、ふらりと上体がぶれ、地面へと倒れ込む姿…



血の模様を付けた草花の上に、更に血を浴び、真っ赤に染まる…



草花が咲き誇るこの地に、真っ赤な血溜まりが姿を現した…

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