Don't forget “my memory…”
真っ赤に染まった自らの腕を見つめるカリン…
その指先からは、耐えかねた赤い雫が滴り落ちる…
「避けた…か……」
その手を握り、短く溜息を吐くと、背を向けていた体をルイへと向ける…
「やっぱり、一筋縄ではいかないか……」
乱れた髪を整えると、その綺麗な髪が血に染まる…
そんな事を気に止める事なく、ルイを睨んだ…
苦しそうに息をしながら、ゆっくりと立ち上がるルイ…
胸の辺りに、何かに裂かれたような長い傷がある…
そこからは大量に血が流れ、止まる事を知らない…
「…ハァ…ハァ…………カリンを苦しめやがって……これ以上彼女を傷つけるようなら、許さねぇぞ……」
青い瞳を怒りに染めながら、カリンの体をした悪の塊を睨みつける…
剣の柄を握ると、その剣先を彼女へと向けた…
その剣先に驚き、ゴクリと生唾を飲み込むが、彼女は尚も強気である…
「何?斬るの?愛しい人にそんな凶器向けて……そんなに自分の命が大切なんだ。ハハ…ハハハッ…!」
笑い続ける彼女の言葉に苛立ちを抱きながらも、彼は目を瞑ると気持ちを落ち着けようと息を吐く…
(カリン……俺、お前を斬りたくない……
でも…でも…今のお前は、俺の知ってるカリンじゃない……
頼むから、戻ってくれ……いつものお前に………俺が知ってるお前に………)
瞼を上げ、青い瞳で鋭く睨むと、剣の柄を握り締め地を蹴った…