Don't forget “my memory…”
自分の胸へと迫り来る剣先…
避けられないと察知すると、彼女は覚悟したのか顔を伏せた…
そんな彼女の胸まであと少しとなった所で、彼女は顔を上げ、ルイを見つめる…
『…止めて……ルイ………』
その声は震えていて…
ルイを見つめる彼女の綺麗な瞳には涙が浮かぶ…
そんな今の彼女は、紛れもなく、本物の、カリン…
何の迷いもなく剣を突き出すルイの力が、その言葉で弱まった…
潤んだ瞳で見つめられ、彼は目を疑いながら、驚いた表情を見せる…
ギリギリの所で止まった剣先…
それをチラリと盗み見して確認すると、彼女はニッと嫌味に笑い、その剣を細い足で蹴り上げる…
体力が抜けていたルイは、剣から伝わった振動に手を離してしまい、剣は宙へと舞い上がった…
目の前で嫌味に笑う彼女と、手から離れ、舞い上がった剣…
ハッとして剣へと手を伸ばすが、もう既に遅く、その剣は彼女の手が掴んでいた…
高々とジャンプし、ルイより先に剣を掴んだ彼女は、彼を通り越して地に着地…
剣先を彼へと向け、わざとらしく笑う…
「終わりだね。」
可愛らしく首を傾げる彼女…
綺麗な髪がサラリと揺れ、誰しもが見とれてしまう…
そんな彼女を見つめる彼は息を呑み、壁に張り付く…
ルイと彼女の立場が変わってしまった…