Don't forget “my memory…”
頬を伝う雫…
その涙を親指で拭ってやると、彼は優しく微笑んだ…
彼の笑顔を見た彼女は、失ってしまうんじゃないかと恐れていた為か、涙を流し続ける…
両手で顔を覆い、肩を揺らす彼女を見て、彼は戸惑いながらも、そっと頭を撫でた…
「お前のお陰だよ……」
そう言い頭を撫でる彼を、涙を拭いながら不思議そうに見つめる…
「お前の声が聴こえたから……気持ちが伝わったから……
だから、助かったんだ……ちょっと痛いけどな………」
最後に笑う彼を見て、彼女は傷口を見つめる…
その傷は、心臓より少し上に傷があった…
でも、危険なのは間違いない…
彼女は拳を握ると、地に転がった剣を掴む…
そして、剣の柄を彼に握らせた…
「……殺して………」
馬鹿言うなと口を開こうとするが…
涙で潤む彼女の瞳は本気だ…
嘘なんかじゃない…
「もう、傷ついて欲しくないの……ルイの傷つく姿なんて、見たくないの………だから、殺して……」
最後に首を傾げて笑うと、綺麗な髪が揺れる…
そんな彼女の笑顔を見ると、胸が痛んで、息ができない程締め付けられて…
彼は剣を投げ捨てると、彼女の腕を掴んで引き寄せた…