Don't forget “my memory…”
カリンは、胸へと埋めていた顔を離し、涙を拭う…
そして、カリンを見下ろしている彼へと、満面の笑みを向けるのだった…
カリンに初めて会った時、彼の心をどぎまぎさせた、その笑顔で…
少しの隙間もなく、密着しついる2人…
そんな2人を、優しい風が、撫でていく…
ザワザワと、春を待ちわびた緑の草花が、風と共に踊る…
その音に、耳を済ませていたルイ…
そんな彼の唇が、塞がれた…
突然の出来事…
カリンの顔が、目の前にある…
幼さの残る、綺麗で、可愛らしい、愛しい彼女…
ほんのりと頬を桃色に染める、彼女が…
カリンは、ルイの首に両手を回し、背伸びをして、ルイの唇へと、キスをしたのだ…
優しく、触れるだけの、キス…
カリンからの、初めての、キス…
そのキスは、産まれて初めての、これまでにない、最高の、キス…
カリンはゆっくりと、ルイから唇を離す…
そして、恥ずかしそうに頬を赤く染め、上目使いで、ルイの様子を伺う…
「……」
無言のルイ…
呆気にとられ、驚いた様子…
「クスッ…」
そんなルイの表情を見て、おかしくて、可愛らしくて、笑いを零してしまうカリン
そんな様子のカリンに、現実へと戻されたルイ…
一瞬、恥ずかしそうな顔を見せたが、すぐにいつものルイの顔に戻った…
そして、微笑むカリンの目の高さまで屈む…
綺麗な青い瞳に見つめられるカリン…
「?」
その瞳を見つめ、可愛らしく首を傾げる…
そんな彼女が
可愛くて…
愛しくて…
ルイはカリンにキスをした…
とろけるような、甘いキス…
今度は、カリンが驚く番だった…
目を見開くカリンであったが、すぐにルイを受け入れ、ゆっくりと、目を瞑る…
辺りでは、2人を歓迎するように
鳥達は唱い
風は舞い
草木は手を叩く
2人程幸せな者はいないだろう…