湊くんの秘密。
大変だなあ。
声優と学校との両立。
湊くんはクラスで存在感ないし、
学校を休んだって、遅刻したって不自然に思われない。
けど、出席日数とか大丈夫なのかな。
…でも、しっかり者の湊くんだから、ちゃんと計算して考えてるよね。
あたしが口出すことじゃないや。
「出席日数大丈夫なの?」という言葉を胸にしまって、電話に向き直す。
『じゃあまた明日学校でね』
「うんっまた明日!」
『俺の仕事を理解してくれてる蘭ちゃんにご褒美』
それだけ言って、
チュッと軽いリップ音が電話越しに聞こえた。
……っ////
「湊く…っ」
一方的に電話は切られていて、虚しくツーツー…という音だけが響いていた。
ずる…っ。
声優だからうまいに決まってるじゃん。
それが仕事の一部なんだもん…っ。