湊くんの秘密。




……寂しい。



「ごめんっ、お風呂入れって言われちゃったから切るねっ」

『あ、そっか。じゃあ、また』

「…ごめんね。明日は、来る……?』

『あー…っと、遅刻、かな』



遅刻、か。



「わかった。じゃあね」と言って、電話を切った。



濡れた髪に手を伸ばす。

ポタポタと滴る水をタオルで拭いた。



お風呂、もう入ったよ…。



なんで。

なんで寂しくなるの。



あたしは湊くんのファンだよ。

昔から大好きだった湊くんが、たくさんの作品に携わってくれるなんて、

こんな嬉しいことないはずなのに。



どうしてこうも人間は欲張りになるの。

どうして好きな人が近くにいないと寂しくなってしまうの。



< 134 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop