湊くんの秘密。
……寂しい。
「ごめんっ、お風呂入れって言われちゃったから切るねっ」
『あ、そっか。じゃあ、また』
「…ごめんね。明日は、来る……?』
『あー…っと、遅刻、かな』
遅刻、か。
「わかった。じゃあね」と言って、電話を切った。
濡れた髪に手を伸ばす。
ポタポタと滴る水をタオルで拭いた。
お風呂、もう入ったよ…。
なんで。
なんで寂しくなるの。
あたしは湊くんのファンだよ。
昔から大好きだった湊くんが、たくさんの作品に携わってくれるなんて、
こんな嬉しいことないはずなのに。
どうしてこうも人間は欲張りになるの。
どうして好きな人が近くにいないと寂しくなってしまうの。