湊くんの秘密。




あたしの耳に、大音量のダブルブラックの主題歌が流れて、

背中に温もりを感じた。



誰かの手が両耳にふわっと触って、それから頭の上にポンと手が乗る。



あ、湊くんにイヤホンつけられたんだ。



そう理解したのは、振り返ってからだった。



若干絵麻ちゃんを睨みながら、湊くんはあたしの後ろに立っていて。



大音量の音楽に、少し頭がズキズキする。


でもかろうじて、話は聞こえる。



「あっれ。久遠くんの登場ーっ!」



またバカ笑いをし出した絵麻ちゃんにつられて、クラスがどっと笑った。



…やだ。

やめて。



お願い……っ。



その嫌な顔を、声を…

湊くんに聞かせないで…。



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