湊くんの秘密。
堂々と言いたい
「ごめん…」
湊くんが止まって謝ったのは、いつもの階段下だった。
まだ付けっ放しだったイヤホンを外して、湊くんに返す。
なんで湊くんがあたしにイヤホン付けたか、わかってるよ。
クラス中の嫌な笑い声とか、絵麻ちゃんの言葉とか
あたしに聞かせたくなかったんでしょう…?
ありがとう。
ちゃんと、わかってるから…。
「イヤホンありがとう…。
大翔様の歌で、怖かったの和らいだよ」
「それならよかった…」
湊くんは、プレーヤーにイヤホンのコードを巻きつけて、ポケットに押し込んだ。
「教室、戻りづらいね」
「そう…ね」
美菜子も、いつものような態度じゃない。
やっぱり少し怖かったのかな。