湊くんの秘密。




次の日、いつもの教室へ続く階段を登っていた時だった。



「『カルテット』、やばかった!本当にっ!湊くんいっぱいしゃべってて嬉しかったっ」



え……?

この、文章って。


あたしが昨日、『カルテット』を見た後に湊くんに送信したメールの一部だ。



若干棒読みで言われたソレは、もちろんあたしの声じゃない。


なんで、階段下から…。



「………まさか…」



登った階段を引き返して、急いで階段下を覗く。



あたしが期待した通り、そのまさかだった。



「湊くんっ!!」

「んー?」



壁にもたれて座っていた湊くんは、ケータイをいじっていた顔を上げた。


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