湊くんの秘密。
「これから、イベントもドラマCDの収録もラジオもたくさんある。もちろん他の仕事も。
鈴木湊としては、これ以上嬉しいことってないよ、本当に。
でも、久遠湊としては…」
そう言いかけて、あたしの手を取る。
「蘭に寂しい思いさせてるって思うと、自分が嫌になる。
俺が声優じゃなかったら、どんなに蘭を楽しませてあげられたかって…」
優しく握られた手が、力なくて。
「湊くん」
あたしにできる事は。
「湊くんは、あたしが湊くんのアニメを見てるとき、どんなに楽しいか知ってる?
…本当は寂しいよ。けど、あたしは長い間声優って仕事を見てきたんだよ。
そりゃあ、詳しいことは知らないけど」
「……」